「それだけ長年この業界で活躍して、報酬も高かったのになぜ辞めてしまったんですか?」
僕のブログを読んでくれている読者や、現在の仕事で出会う相談者から、このような質問をされることがよくあります。
僕は長年、別れさせ屋の業界でがむしゃらに働いてきました。最初は泥臭い現場の環境からスタートし、調査員、工作員、現場の統括担当者、そしてカウンセリングを行うアドバイザー業務まで、一通りの実務をすべて経験してきました。
経験を積むにつれてポジションも上がり、やがて管理職へ昇進。最終的には、任されるタスクも報酬も、会社の役員クラスと変わらないレベルにまで到達していました。
この仕事を通じて、僕は本当に多くのものを得ました。
- 感情を剥き出しにする人間の心理(不安、執着、期待)への深い理解
- 複雑な人間関係を整理し、成功へ導くための綿密なシナリオ設計力
- 綺麗事だけではない、現実的な選択肢を一緒に見つけ出すアドバイス能力
しかし僕は、そのキャリアのすべてを捨てて業界を離れる決断をしました。今回は、僕が別れさせ屋の表舞台から去ったリアルな理由と、今だからこそ伝えたい本音を率直に綴りたいと思います。
限界を迎えていた、超過酷な労働環境
辞めた理由の根底にあるのは、極めてシンプルです。「体力的にも精神的にも、完全に限界を迎えていた」という労働環境の厳しさでした。
別れさせ屋の管理職・現場担当者の日常は、想像を絶するブラックなものでした。私の当時のスケジュールを少し整理すると、以下のような毎日が当たり前だったのです。
- 早朝からの現場稼働
1日に2つの異なる現場をハシゴして動くことも日常茶飯事。 - 地方への緊急遠征
ターゲットの動きに合わせて、長時間の車移動や急な宿泊は当たり前。 - 24時間体制のメンタルケア
現場の合間や深夜、相談者や依頼者からの切実な電話やLINEに、常に一言一言神経を尖らせて対応。 - 組織のマネジメント
他のスタッフへの指示出し、現場の目配り、気配り、心配り。
「僕は社長ではないのに、やっている重労働と重圧は社長と全く変わらない」
いつしかそんな感覚に陥っていました。手を抜こうと思えば、いくらでも抜けたのかもしれません。しかし、人生を懸けて頼ってくる依頼者を前に、僕にはどうしても「手を抜く」という選択ができませんでした。結果として、自分でも気づかないうちに無理を重ね、心身は限界に達していたのです。
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悪徳上司との「価値観のズレ」と業界への憤り
体力の限界以上に、僕の心を摩耗させたのが、当時社内で多大な影響力を持っていた「例の苦手な上司」との決定的な価値観のズレでした。
「この人は、ビジネスや困っている相談者を一体何だと思っているんだろう……」
僕は日々、その上司のやり方に激しい憤りを感じていました。彼のやり方は、一言で言えば「焼畑農業」目の前にいる、藁にもすがりたい思いの依頼者から言葉巧みにお金をむしり取り、利益を最大化したら、あとはまともに稼働もせず、終われば次の獲物を探しに行く。
長期的な信頼関係や、別れさせ屋業界全体の社会的イメージなど1ミリも考えていない、その場限りの「短期的な数字」だけを追い求める姿勢でした。
「お前さんは馬鹿だよ」と嘲笑されても貫いた誠実さ
その上司からは、よくこう揶揄されました。
「H、お前さんの案件は数字(利益率)が低すぎるんだよ。もっと上手くやれよ、馬鹿正直にやってて阿保らしくならねぇのかい」
確かに僕の案件は、その上司に比べて会社の利益率は低かったかもしれません。なぜなら僕は、依頼者にきちんと実際の稼働報告を行い、急な経費が発生した時も明確に説明し、双方が納得した上で黒字営業を続けていたからです。
僕は「こんな詐欺まがいのことをしているから、別れさせ屋全体のイメージが悪くなるんだよ」とずっと思っていました。誠実に、嘘をつかずに人と向き合えば、極端なトラブルになることは絶対にない。そう信じてプライドを持って仕事をしていたからこそ、その上司と同じ空気を吸い続けることに耐えられなくなってしまったのです。
プライベートの完全な喪失
誠実であろうとすればするほど、僕のプライベートは完全に消滅していきました。
愛憎の泥沼にハマり、今にも心が壊れそうな依頼者のメンタルケアや、工作を失敗させないための打ち合わせを丁寧にやろうとすると、24時間あっても時間が足りません。
休日であっても、頭の中は常に「ターゲットの次の動き」や「依頼者の不安をどう取り除くか」で埋め尽くされ、心が休まる瞬間は一秒もありませんでした。
悪徳上司のように「契約さえ取ればあとは適当に放置」ができれば、もっと楽に生きていけたでしょう。でも、僕にはどうしてもその生き方ができなかった。真剣に向き合いすぎたからこそ、僕は別れさせ屋という仕事に、自分自身の人生を食いつぶされかけていたのです。
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新たな道への起業、そしてこのサイトを作った理由
そんなボロボロだった僕の背中を押し、業界を離れる決断をさせてくれたのは、僕に足りない部分を補い、支えてくれる大切なパートナーとの出会いでした。
「この人と一緒なら、別れさせ屋という影の仕事ではなく、表の世界で新しい光ある道を作れるかもしれない」
そう思えたことで、僕はようやく重い足枷を外すことができました。
その後起業し、現在は結婚相談所や恋愛コンサルティングの運営に携わっています。しかし、表の恋愛の舞台に移ってからも、僕の元には驚くほど多くの「別れさせ」に関する相談が絶え間なく寄せられたのです。
- 「ネットの口コミを信じて別れさせ屋に依頼したのに、詐欺だった」
- 「怪しい復讐屋に高額な料金を払ってしまい、トラブルに巻き込まれた」
- 「どうしてもあの人を別れさせて、もう一度一緒になりたい」
現役時代に耳が痛くなるほど聞いた悩みを、今もなお、多くの方が抱えて苦しんでいる。その残酷な現実を目の当たりにしたとき、僕の中で一つの使命感が生まれました。
「もう自分がプレイヤーとして依頼を受けることはない。だけど、現役時代の膨大な経験を活かして、これから依頼を考える人が悪悪業者に騙されて絶望しないための『正しい防衛策』を発信することはできるはずだ」
これが、僕がこのサイトを立ち上げた本当の理由です。
別れさせ屋の仕事は、僕一人では絶対にできません。優秀な調査員、卓越した人間力を持つ工作員、全体を統括する担当者。すべてのキャストがプロフェッショナルとして揃って、初めて成り立つ繊細な仕事です。だからこそ今は、その「中の仕組み」をすべて知る立場から、皆さんの盾となる情報を届けることに全ての力を注いでいます。
最後に、あなたへ伝えたいこと
これから別れさせ屋への依頼を真剣に検討している方、あるいは、すでにどこかの業者と契約を結んで前に進もうとしている人へ。
もし、あなたが今お話ししている担当者やスタッフが、あなたの痛みに寄り添い、熱意を持って真剣にコミュニケーションを取ってくれる人間であるなら、その出会いをどうか大切にしてください。
別れさせ屋のスタッフも人間です。恋愛と同じで、どれだけ依頼者のために一生懸命に身を削って尽くしていても、理不尽で自分勝手な要求ばかりを突きつけられたり、疑心暗鬼なネガティブな言葉ばかりを投げかけられると、心が折れて疲弊してしまいます。
もちろん、業者に対して正当な意見や主張を言うなという意味ではありません。大切な大金を払っているのですから、堂々と意見は伝えるべきです。ただ、その主張がお互いの信頼関係を壊さない範囲のものか、少しだけ考えてみてほしいのです。
依頼者とスタッフは、同じゴールを目指す「二人三脚のパートナー」です。
お互いにリスペクトを持ち、強固な信頼関係を築いていくこと。それこそが、現場のスタッフのモチベーションを最大化し、結果として工作の成功率を極限まで高める一番の近道になります。
あなたの人生の選択が、少しでもポジティブで、涙のない豊かなものになることを、僕私は心から願っています。
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監修者コメント

元別れさせ屋H
(恋愛コンサルタント・結婚相談所経営)
別れさせ屋を辞めた今だからこそ、完全に客観的な視点で業界を見ることができるようになりました。世間には「別れさせ屋なんて全て詐欺だ」と言う人もいれば、「100%復縁できる裏技だ」と謳う悪徳業者もいます。そのどちらも極端な嘘です。
この業界には、僕の元上司のように依頼者をただの金づるとしか思っていない「焼畑農業」の人間もいれば、睡眠時間を削ってでもターゲットの心を動かそうと命を懸けている誠実なプロの工作員も確かに存在します。
あなたがこれから出会う窓口の人間が、どちらのタイプの人間なのか。僕の過去の苦い経験や業界の裏事情を詰め込んだこの記事たちが、あなたの目を曇らせないための「防衛策」となることを祈っています。


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